『優しさに包まれて』 作家 櫻花 葵
2021年1月4日(白帯)
『優しさに包まれて』
作家 櫻花 葵
黒い服で固めたライオンが
「喪中です」
と豪語すれば
「そうね」
と葵は流し目をする
ワインレッドの恋模様は
境界線に置かれた鐘を鳴らす
リンゴンドン リンゴンドン
「次はあなたの番ですよ」
眉間に皺を寄せているのは
重い荷物を背負ったペリカン
「そうね」
と葵は軽く頷いた
声を枯らして
風にのせて
心踊らせ
身を焦がし
弾けた
新たな時間は一秒ごとに死ぬ
そうフラミンゴ先輩は
バサリと翼を広げ
発言力を強めた
「そうね」
葵は時間の死骸を『過去』と名付け
そっとアルバムにしまった
名前のない足跡と一緒に