『情事』 作家 ダブルート
2020年10月15日(白帯)
「情事」
作家 ダブルート
白々と
刻々と
硝子細工の幻灯火
迫る闇を屠る夜を
厳格な閂が制止する
凍てつき震え ぼやける青
騎乗の女は
剥き身を咥えこんで踊る
揺らめく肢体はおもむろに
抜き身を突き立てあざ笑う
赤光と墨滅
果て行く血涙
淫魔は囁く
“こときれるまで、腰を振れ”
白い濁流に薄墨を汚され
招かれざるもの
舌なめずりで露払い
聞き耳たてたる鬼どもは
おもむろに帯をほどく
続く饗宴
響く叫声
鯨の舞は祝いの歌に
桃の香纏いて蝶となり
蜜の香疼いて蜂となる
繁る鎌首
誘う垂涎
月を踏む鬼
猛る巨躯
太刀を振る巫女
爆ぜる蝕
共に渇きはまだ癒えず