『夜と朝のあいだ』 作家 小石川 尚
2020年9月26日(白帯)
「夜と朝のあいだ」
作家 小石川 尚
ミルクをこぼした夜明けの空
里に漂う幽霊たちの煌めき
つかの間
世界が裏返り
歌が聴こえる
聴こえる…?
いいえ
耳に聴こえる音でなく
体を包む精霊たちの言葉
独りぼっちになりたがる病
生と死の間に漂う
生へも死へも近い存在
しばししばし
お付き合いをと
愛に出会って心には
疔が巣食い
痛み
痩せ細る
疲れ果て
また愛に会って
癒やされて
癡かにも
癖になり
痴れ者よ痴れ者よ
人の生きる間は病と共に
連れて行ってと手を伸ばす先
里に漂う幽霊たちの煌めき
煌めき